ジークはなぜマーレに「王家の血を引いている事実」を明かしていないのか
93話「闇夜の列車」で、ジークはマーレに「王家の血を引いている」事実を明かしていないことが明らかになった↓
これは私にとって大変意外なことだった。
「ジークはマーレに全てを話すだろう」というクルーガーのセリフを鵜呑みにしてしまっていたからだ。
グリシャが回想するように「ジークは親を見限るほどの忠義をマーレに示していた」と思っていた。
そしてそれほどの忠誠心であれば、自分が王家の血を引いている事実も明かして当然だと思い込んでいた↓
なぜジークはマーレに打ち明けなかったのだろう。
考察してみたい。
ジークの忠義は両親に向けられていた?!
グリシャとダイナは、我が子ジークを自らの思想に染め上げようとしていた。
「お前はエルディアの王になるべくして生まれてきた」
「マーレの人間が言うことは全て間違っている」
「だがお前は誰よりもマーレの教えに従順に従わなければならない」
「エルディアの屈辱はお前が晴らすのだ」
あれ?
実はここが鍵なのではないか。
そう。
幼きジークは、グリシャやダイナの教えをただただ忠実に守ったのではないだろうか。
つまりジークの忠義はマーレに向けられていたのではない。
父親であるグリシャ(そして母親であるダイナ)に向けられていたのだ。
「お前は誰よりもマーレの教えに従順に従わなければならない」
というグリシャの言葉を信じ、「反撃の予兆」として密告をしてしまったのではないだろうか↓
そして皮肉なことにこの密告がマーレへの忠義ととられ、ジークはマーレから厚い信頼を得るに至ったのではないだろうか↓
まさかマーレの教えの中に「自分が王家の血を引いている場合は速やかに報告せよ」というものはなかっただろう。
親を売るまでのことをした幼きジークが「王家の血」を明かさなかったのはそのためななのではないか。
エルヴィンとジーク
ここで1点思い出されることがある。
調査兵団13代団長エルヴィン・スミスだ。
幼く、そして父の言動の意味を察せられるほど賢くなかったエルヴィンは、本人の意図しない形で密告を行い、父親の死を招いた↓
最新94話で幼きエレンとライナーの見上げた空が繋がっていたのと同様に、壁内において半ば疎まれる存在だった調査兵団の団長エルヴィンと、同じくマーレ内において冷やかな視線を受けてきたであろうマーレ軍戦士長ジークもまた「父親」で繋がっているのではないだろうか。
この世界は残酷だ
もし私のこの考察が正しければ、ジークは親を見限ったのではなくむしろ信頼し愛していた可能性が高い。
そしてジークは成長のいずれかの時点で、自らの手で両親を楽園送りにしてしまった事実に気づくのである。
そう。この世界は残酷だ。
成長したジークはどう感じただろう?
知らずに両親を売ってしまった悲哀?
まだ分別のつかない子供を洗脳しようとした親への憎しみ?
グリシャ(とダイナ)に対するジークの感情は、愛と憎しみが見事に同居したとても深く複雑なものになっているのではないだろうか。
それがこのシーンにつながるのだ↓
メガネと記憶継承能力
仮にこの考察が正しかったとしても、
「ジークが成長してグリシャに洗脳されていたことに気づいた時点で、王家の血のことをマーレに打ち明けていてもおかしくないんじゃない?」
という疑問が出てくる。
確かにその可能性は十分にある。
しかしそれでも明かさなかったのは、もしかするとジークのメガネの持ち主が関係しているのかもしれない↓
もしくは「記憶継承能力」が関係しているのかもしれない。
ライナーなどの「王家の血を引いていない」知性巨人の持ち主たちとは違い、王家であるレイス家は始祖の巨人を引き継ぐや否や、一気にあらゆる記憶の継承が行われるようだ。
ということは始祖の巨人ではないものの、もしかすると王家の血を引くジークもまた記憶継承能力に優れた人間であり、その記憶によって「自分が王家の血を引いている」事実をマーレに隠しているのかもしれない。
まあどちらも今のところ何の根拠もない妄想だが。
ジークとグリシャの記憶(エレン)が語り合える場面は来るのだろうか。
今後の展開が楽しみです。