二千年前の君(ユミル・フリッツ)へ伝える。それが進撃の巨人の目的?!
「二千年前の君へ」
鋭い方もそうでない方もすぐに分かるだろう。そう、今回のタイトルは第一話のタイトル「二千年後の君へ」をモジッたものだ。
「二千年後の君へ」というタイトルの真意はまだ分からない。が、しかし。逆に二千年前の君は、始祖ユミル・フリッツなのかもしれない。ふとそんな気がした。
そしてユミル・フリッツを悪魔にしない(悪魔と契約させない)こと、それこそがコノ物語の目的なのではないか。そんなことを考えてみたので、書いてみようと思います。
始祖ユミルまでの道を辿り、伝える
ユミルの民たちは道でつながっている。道は時代をも超える。アルミンやミカサを知らないはずのクルーガーが、その名を発することができたのもこのためだ。
余談だが「誰か僕らを見つけてくれ」というベルトルトのセリフは過去へ向けられたものではないかと私は想像している。
つまりベルトルトの思いが過去に伝われば、もしかしたら自分たちが使命を負う前に、誰かがこの残酷な歴史に終止符をうってくれるのではないか。そうすれば自分(ベルトルト)はこんなどうしようもない思いを抱えることもなく、残酷な運命を背負わなくて済むのではないか。
これはベルトルトのそのような思いから発せられたセリフなのではないだろうか。
ユミル・フリッツに何を伝えるのか
ユミル・フリッツに伝えること、それは「悪魔にならなくて良い(悪魔と契約しなくて良い)」ということではないかと私は思っている。
何も当てずっぽうで言っているワケではない。エルヴィンの死の場面と重ねた上でそう推測しているのだ。
エルヴィンは壁内人類の救世主たるために、悪魔になることを皆から期待された。
始祖ユミル・フリッツが、どのような経緯で大地の悪魔と契約を結ぶに至ったのか。また具体的にどのような内容の契約を結んだのか。もちろんこの契約というのは何かのレトリックで、現実はもっと違うものなのかもしれないが、何にせよこれらのことはまだ良く分かっていない。
しかしユミル・フリッツの置かれていた立場が、もしエルヴィンのそれと似たものであったら……。
つまり皆がエルヴィンに悪魔になることを期待したように、ユミル・フリッツもまた同様の期待を背負っていたのではないかと私は思うのです。
そしてその結果が、今のユミルの民の悲しい運命に繋がっているのではないか。さらに勢いに乗って言えば、「巨人の涙」もココらへんと繋がるのではないかとそう思うワケなんです。
リヴァイがエルヴィンにそうしたように
じゃあどうすれば良いのか。どうすればこのような悲しい運命に、終止符を打つことができるのか。
その答えは「道を辿ってユミル・フリッツを愛し許すこと」なのではないだろうか。リヴァイがエルヴィンにそうしたように。
アルミンが以前に言ったこのセリフ↓
何かを変えることのできる人間がいるとすれば、
その人はきっと大事なものを捨てることができる人だ。
化け物をもしのぐ必要にせまられたのなら、
人間性をも捨て去ることができる人のことだ。
何も捨てることができない人には、
何も変えることはできないだろう。
これはほぼ間違いなく「進撃の巨人」のメインテーマの1つであろう。
エルヴィンの死の場面において、リヴァイもそしてエレンもまた、大事なものを捨てることができなかった人間として描かれている。
でも実はこのことにこそ、物語の答えが隠されているような気がするのだ。
クルーガーは愛が必要だとグリシャに説いた。
妻でも子供でも街の人でもいい。
壁の中で人を愛せ。
それができなければ繰り返すだけだ。
同じ歴史を、同じ過ちを、何度も。
ここにどんな意図があるのか、正確にはまだ分からない。
しかし「愛」がこの物語の大きなテーマであるのなら。それを伝えなければいけない一番の相手は、始祖ユミル・フリッツなのかもしれない。